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崩壊と再生

ヴィム・ベンダース製作の「Rain」という映画と黒沢清監督の「トウキョウソナタ」を観る。

「Rain」は06年作のヴェンダース監督の「ランド・オブ・プレンティ」で脚本をやっていたマイケル・メレディスが監督をつとめた作品。
チェーホフの短編小説をモチーフに、雨が降り続く3日間のクリーヴランドを舞台に、息子をなくした初老のタクシー運転手、娘を奪われたドラッグ中毒の若い女性、ふと慈善に目覚めた夫とそれを理解出来ない妻、アルコール中毒で息子に嘘をつきながら金をせびる年老いた男などの様々な人間模様を描くもの。
「マグノリア」「クラッシュ」「彼女を見ればわかること」のような個々のエピソードが連なっていく群像劇だが、それらが最終的に絡み合っていくのとは違って、この映画の各エピソードは平行に進んでいくだけである。
オチがあるわけでもなく、希望を持たせることもない。
人に寄っては退屈である映画かもしれないが、この大雑把な投げ放し感は僕はそう嫌いではない。
アルコール中毒の男を演じたピーター・フォークがとても良かった。

「トウキョウソナタ」は08年のカンヌ映画祭で「ある視点」部門でを審査員賞を受賞した黒沢清監督の作品。
夫がリストラされた事をきっかけに徐々に歪んでいく家族の、崩壊と再生の物語というのか。
主演の香川照之氏が好きなので何とか持ちこたえ観る事が出来たが、後半から急激に展開するややファンタジックな物語に僕は少々首をかしげてしまった。全体がもっと寓話的に統一されていればまた印象も違ったかもしれない。ブラックなコメディとして観ればそれはそれでいいかもしれない。
劇中音楽は物凄く好きな感じだったので調べてみたら、以前僕が在籍していたミディクリエイティヴからサントラがリリースされていた。


どちらも、人生に行き詰まり、何とかそこから逃れ再生したいと願う人々の物語。
「あの時ああすれば」「もう一度生まれ変われるなら」
そんな思いは誰もが胸に秘めている永遠の葛藤なのだろうか。
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by joenakamura | 2009-11-03 13:47 | 映画 | Comments(0)