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アマチュア

合間を見てDVDで映画鑑賞。
先日、遺稿を映画化した作品「ヘブン」を観た、監督クシシュトフ・キェシロフスキの79年作、彼の長編2作目の「ママチュア」。

舞台は陰鬱としたポーランド。主人公フィリップは妻との間に待望の娘を授かる。
彼は娘の成長を記録するため、妻に反対されながらも給与の2カ月分もする高価な8ミリカメラを購入する。
そんなフィリップに勤め先の工場の記念式典を撮影してほしいとの依頼が社長じきじきに舞い降りる。理由はただ「カメラを持っていたから」。
カメラを回しながら、次第にその魅力に取りつかれていくフィリップ。
彼は日を追うごとに映画制作にのめりこみ、社内に映画クラブを設立、「自然な自分たちの為の映画を撮る」事にますます没頭していく。
平穏な生活を望んでいた妻とは徐々に亀裂が入り始めるが、彼は足を止めず自分の望むようにカメラを回していく・・・。

79年のポーランドといえば、ソビエト連邦の支配による社会主義に対する民主化運動が始まりだした頃。
混沌とした社会の中、ふとカメラを買った事で成り行きで映画を撮るようになったフィリップ。
素人の自分の撮った映画が「たまたま」評価を得てしまった事で、「人々の真の姿」を映画として切り取る事が自らの使命になったかのように転げて行く彼の姿は、こういった社会情勢を踏まえなければ少々突発的にも感じたかもしれない。
そして何よりそういった「正義感」とは裏腹に、念願の「家庭」を持ったにも関わらず、それとは逆のベクトルを求めてしまう悲しい男の性。
それが一層「外」への視線を切り取る映画の世界に彼を引きずりこんだのだろう。

淡々とした映像も大変美しく、抑えめながらも的確な演出も俳優陣もとても良かった。
そして自分にカメラを向けるラストシーンが何とも儚く切ない。

キェシロフスキ監督の映画は実はこれが初見。これから色々と観て行くのが楽しみ。



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by joenakamura | 2011-03-08 23:11 | 映画 | Comments(0)