J O E N A K A M U R A B L O G

COME A DAY

自宅の隣に住んでいた父方の祖父は大層なオーディオ・映像オタクで、当時まだ珍しかった8ミリ撮影機で幼い滑稽な僕の姿を録画し、編集機で編集するのが趣味であった。

そんな機材が身近にあるのだから自分でも映画を撮ってみたくなるのは必然で、高校1年生の時、柔道部のI君(大きな風貌にもかからわず映画好きであった)を誘って自主映画絵を撮ってみることにした。(この話、前もどっかで書いたことがある気がしますがご勘弁を)

夏休みの高校の校舎に忍び込んで、I君に撮影を頼み撮影開始。出演者は自分のみ。
特に脚本はなく、ちょっとした構想をメモった紙を頼りに丸一日で撮影完了。

舞台は撮影時期そのままの高校の夏休み。時刻は午後。
主人公(自分)は忘れてしまってた宿題で必要なノートをこっそりと教室に取りにくる。無事にノートを手にし教室を後にしようとすると、誰も校舎にいないはずなのに何者かに覗かれている事に気付く。
主人公はその影を追いかけるが、影は一向に捕まらない。追いかけながら次第に何か校舎内がおかしな空気に包まれているのを感じ出す。(階段を何度も下るが、何度下っても4階のままであったり妙な現象が起こる)。恐ろしさを感じながらも主人公は旧校舎に影を追って入り込んでいく。

(当時の母校は旧校舎から新校舎へと移行している時期で、途中まで建てられた新校舎と旧校舎が並列に授業に使われていた。プールや体育館、講堂、一部の教室はまだ旧校舎のものが使われており、影が多いレトロな作りの古びた旧校舎は陽が暮れると少し恐ろしい雰囲気すらあった。)

ようやく地下の教室に影を追い詰めた主人公。
影は黒い服、顔には布を巻きつけており素顔は分からない。(自分が一人二役で演じている。顔に巻きつけるに布が無かったため部室にあったトレーナーを巻きつけて代用した。きっとエレファントマンを参考にしたのだと思う。)
影=謎の男は、片手に人形(ビニールの子供の人形)を持っていた。謎の男はおもむろに取り出したナイフでその人形を引き裂こうとする。主人公はその人形が何故か自分の姿とダブり恐怖を感じ、側にあった掃除用具で謎の男をめった打ちにする。謎の男は倒れ動かなくなる。
動揺した主人公は教室を飛び出し学校から逃げ出そうとするが、打ち倒したはずの謎の男がナイフを持って出口近くに現れ、再び校舎内へ逆戻り。
トイレに逃げ込み個室の中で一息つく主人公。すると次第に遠くから足音が聞こえてくる。あの男だ。息を潜めじっと恐怖に耐えながらしゃがみこむ主人公。足音はすぐそこまでやってきている。
足音が途絶え、暫し時が経つ。主人公は恐る恐るドアを開けるが、誰も姿はない。主人公は一目散にトイレから逃げ出し講堂へ向かう。
すると講堂近くで謎の男に遭遇。主人公は講堂の2階席へ逃げ込む。地上から5メートルくらいの高さにある2階席。謎の男はナイフをかざし迫ってくる。逃げ場の無くなった主人公は2階席から飛び降り、講堂に叩きつけられ絶命する。(血糊の代わりにトマトジュースを使った)
終幕。


今にして思えば中二病全開な恥ずかしいばかりの20分ほどの映画。
映画マニアでもあった祖父に見せられた「アンダルシアの犬」や、カルト監督として注目を浴び始めたデヴィット・リンチの影響を受け何だかわけのわからないものを作ってみたかったのだと思う。あの当時はシュールリアリズムの絵画や澁澤龍彦氏の本をはじめ奇奇怪怪なモノに夢中だったのである。(皆そういう頃ってあるよね?今でも好きですけど。)
時折意味不明なカットも折り込みシュールさを醸し出そうとするのが今考えると我ながら痛々しく泣けてくるが、当時は楽しくて楽しくて仕方がなかった。映画作りのメソッドなんて知らないのだから、映像、演技、カメラワークとも酷いものであるが、若気の情熱とは本当に恐ろしいものである。ああ赤面。

音楽は、まだ楽器など弾くよしもなかったのでエリック・サティの「グノシエンヌ第1番 」を借用。まぁそのセンスだけは良かったと16歳の自分に言ってあげよう。


出来上がった映画は「COME A DAY」というタイトルをつけ(THE DAMNEDの「There'll come a Day」という曲から取った)無事に完成したが、結局上映する事もなく友人数人に見せただけであった。
8ミリからビデオにおこしたテープが実家の何処かにあるはずだが、きっと再見したら恥ずかしさで悶死する事だろう。

この後、映画作りの面白さに気付いた自分は、以前ブログで書いたバンド映画の他に水泳部のメンバーで作ったハプニングムービーやら文化祭用の軽薄アクション映画を作るのだがこれはまたの機会に。



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by joenakamura | 2011-09-05 14:57 | 考え中 | Comments(0)