J O E N A K A M U R A B L O G

jandek

昨夜、録画していた「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」の再放送を見る。
jandekというアメリカの謎のミュージシャンを追ったドキュメント映画だ。

jandekというミュージシャンは以前から名前は知っていて、Youtubeで見たりして気にはなっていたのだが、「これはいったい何なんだ?」と疑問符が幾つも浮かぶようなアシッドフォークの亡霊のようなその音楽は、自分の心に一瞬焼き付いたものの、いつしか僕の頭の中から消えてしまっていた。

今回そのドキュメント映画を見て、謎が謎を呼ぶ人物像に再度強く惹かれ、そして何だかわからなく聞いていた彼の歌の対訳が字幕で流れた時、頭に火花が散るような衝撃を受けた。
「これはいったい何なんだ?」と以前と同じように思ったものの、荒涼としたその言葉は錆びたナイフのように胸の辺りを突き刺し、彼への興味がグンッと頭をもたげたのである。

70年代後半から自主制作で何十枚も作品をリリースし続けているjandek。
まるで音楽を聞いた事がないようなチューニングの狂ったギターで語るように歌われるそのアウトサイダーミュ-ジックは、時が経つにつれ明確なフォークソングのようになったり、ドラムや女性ボーカルが参加したりと、何処までが「天然」で「ねらってる」のかよくわからない音楽に変貌をとげる。最近のアルバムはなんとアカペラだそうだ。

「きっと精神異常者が歌っているのだろう」と皆が思っていた彼の音楽は、実は綿密に構築された音楽なのかもしれない。
常人とは逸脱している感覚を彼が持っているのは確かだと思うが、彼は気が狂っているのではなく、きっと自分の中の尺度に忠実に、強靭な美意識の中で音楽を作っているだけなのだ、と僕は思う。もしくはアウトサイダーミュージックをあえて「作ろう」として、正気なまま「そういった音楽」を作っているのだと。そうでなければ、何十年も作品を出し続ける事は出来ないだろう。そしてあんな歌詞は書けないと思う。
(ドキュメント映画の中で見られた彼の電話インタビューを聞く限り、彼は真っ当な人間だと感じた)

上記のような「正気のまま狂った音楽を延々と作り続けている」と考えたほうがjandekが自分にはより魅力的に思える。ただの狂人であったら僕はここまで興味を覚えなかったと思う。「狂気」をはらんだ音楽を正気で作る、というのは甚だ矛盾しているように思えるが、それこそが緊張した糸の上を歩くような本当の狂気のような気がしてならない。



そして感嘆するのが毎回のジャケットの写真の素晴らしさ。それだけでも彼のレコードを集めたくなる。
そそるなぁ・・・
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by joenakamura | 2012-08-15 23:41 | 音楽 | Comments(0)