J O E N A K A M U R A B L O G

森博嗣

つい一か月ほど前に知人に勧められて作家、森博嗣を知った。
デビュー作「すべてがFになる」(発表は1996年)を読み始めた途端に
ともかく夢中になってしまった。
独特な文体と、からっからに乾いた空気感。
本業は大学の助教授として研究を続けている彼の作品は
理論で構築されながらも、隙間に何とも言えぬファンタジーを携えていた。
(ちなみに紹介作はミステリに部類すると思う)

瞬く間に3冊を読み終え、作品への興味とともに
森氏本人への興味が頭をもたげ、ネットや本でともかく調べてみると
掴めそうで掴めない、実体があるようで無いような
その飄々としたスタイルに更に惹きつけられてしまった。
厳格な大人と、奔放な子供、
そんな矛盾する2者を同時に内包している
「体の大きい子ども(でありながら自分も客観視している)」のようであった。

※表現者は概ねそんなタイプの人間が多いが、
 それを「客観視」できる、というのが肝なのである。

※補足であるが、森氏は世間一般では
 すっかりカルト的な人気を誇る作家であるらしく
 今回調べてみて、彼を知らなかった事を少し悔しく思った。


その森氏の原作のアニメーション映画「スカイクロラ」が先日公開になった。
監督は兼ねてから大好きな押井守氏。
氏の「功殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」や「イノセンス」は何度見たことか。
この「スカイクロラ」が上映される記念として
リニューアルされた「功殻機動隊 2.0」が先に公開され僕もすぐさま見に行った。

正直言えば、「功殻機動隊」には興味があったが
封切られる「スカイクロラ」に関しては、テレビ局とタイアップのプロモーション、
恋愛を売りにした予告編を見て、あまり見に行く気はしていなかった。

しかし、その原作が森氏と知り、居てもたってもいられなくなり
気がつけば劇場に足を運んでいた。


予想を裏切る、とても素晴らしい作品で、
僕の考えていた最近の物事への回答を示唆したような内容に
シンクロニシティを感じずにいられなかった。(最近の日記参照
事実、とある台詞を聞いてあまりにも自分にとって的確な表現に
感動して思わず泣きそうになってしまった。
劇場でこんな気持ちになるのは本当に久しぶりだった。
森氏の世界観を見事に押井監督が独自に再構築した2時間は
飽きることはまったく無く、脳を揺さぶってくれた。
(誉めすぎかとも思うが、今が旬なので少々勘弁して頂きたい)

(「スカイクロラ」の原作小説は、章ごとに
サリンジャーの「ナインストーリーズ」からの引用が掲載されている。
「スカイクロラ」自体も、サリンジャーを思わせる、
意味を噛み砕いて粉にしてしまったようなアメリカ文学の香りがする逸品である。)



まだ森氏の作品は8割以上未読である。
まだまだ、楽しめるのかと思うと、わくわくして仕方がない。
夢中になれるとは素晴らしことだ。
まさに恋愛によく似ている。


以上独断。
紹介作を実際に読んで見て、どう思おうと貴方次第である。
[PR]
by joenakamura | 2008-08-07 04:14 | 生活 | Comments(0)