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カテゴリ:考え中( 38 )

お気に入りの本屋

某雑誌が「お気に入りの本屋」の特集をしている。
ふと自分のお気に入りの本屋は何処だろうと考えるが、都内の様々な大型書店にはよく寄り道をするが、便利ではあるけれど「お気に入り」という程の店は特にない。
古本屋なら人には教えたくないような好きな店があるけれど、結局頭に浮かぶのは小さな頃に通っていた今は無き近所の本屋だったりする。

実家のある街には、駅前に文具店と書店が一緒になったS堂が長年どっしりと鎮座をしていた。(もう一軒小さな本屋があったが早々に潰れてしまった。)
床は石作りで、いつもひんやりとした空気が立ちこめていて、奥のレジに座るのは大抵おばあさんだった。
自分が小学生の頃、まだコンビニエンスストアが出来始めたばかりでセブンイレブンが11時にきちんと閉店する時代、文具や本はこの店で買うのが家の、否、この街の慣わしとなっていた。

当時テレビで再放送していた「あしたのジョー」のアニメに影響を受け原作漫画が欲しくなり、初めて自分一人で本を買おうと貯めた小遣いを握り締めS堂に向かった。
漫画本はレジの後の本棚に並んでいて自分で手に取る事はできない。
いくつか並ぶあしたのジョーの単行本をながめ、ドキドキしながらおばあさんに当てずっぽうで巻数を言う。
代金を払い、紙袋に入った漫画を抱え一目散に家に帰る。
するとお釣りの金額が足りない(数十円)ことに気づく。母親に告げるも当たり前に「S堂に聞いてらっしゃい」としか言われず、冷や冷やしながらS堂に戻り、おばあさんにお釣りが足りなかった事を伝えるが「ちゃんと払ったよ」としか言われず、確認しなかった自分を責めながら半べそでトボトボ家に戻る。こんなおっちょこちょいな癖は未だに直っていない。人とはある意味成長しないものだ。
後から思えばそう恐い人では無かったS堂のおばあさんだが、このお釣りの件で自分の中で「恐いおばあさん」と刷り込まれてしまった。幼少の記憶とは恐ろしいものだ。

さて紙袋を開けて現れた、初めて買った漫画本は「週刊少年マガジンコミックス」の「あしたのジョー」9巻。
読んでみると期待していたボクシングシーンは全く無く、力石を殺してしまったトラウマを抱え街を徘徊するジョーの姿が描かれるばかり。面白くないなぁとボヤきながらも、せっかく買った漫画本、何度も何度も読み返し、いつしかゴロマキ権藤のカッコよさに痺れるのだった。


おばあさんにビクビクしながらも、長年S堂には通い続けた。
ネットなどなく、何事の情報も乏しいこの頃、棚に並ぶ店主のピックアップした本達が自分にとって大きく広がる世界の扉であったのは確かだ。
背伸びして「スターログ日本版」やスターウォーズのアイロンプリント本を買ったり、映画「スーパーマン」のムック本を予約注文したり、子供らしく恐竜図鑑やガンダム図鑑を買ったり、スケッチブックやノートにボールペン、大人になって実家の側で仕事をするようになってからは週間誌やミュージックマガジンやら音楽誌を買ったりしていた。

数年前にS堂は解体され、コンビニに姿を変えてしまった。
S堂が「お気に入りの本屋」だったのかと言えば実はそうでもないのかもしれないが、この本屋で自分が形成されたのは間違いない。
焼けた背表紙の文庫本が並ぶコーナーを歩くと紙のなんとも言えない香ばしさが鼻をかすめたのを思いだす。


さて最初に買った「あしたのジョー」、最終巻がすごいと噂を聞き、9巻を読み飽きた頃に今度はちゃんと意志を持って「20巻をください」と告げS堂で購入。
9巻はどこかへ行ってしまったが、これは未だにボロボロになりながら自宅の本棚の奥に眠っている。
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by joenakamura | 2017-08-22 15:14 | 考え中 | Comments(2)

新宿JAM

新宿JAMが年内で閉店するそうだ。
ご多分漏れず自分にとってもこのライブハウスは母校のようなもので、閉店を知った時は何ともいえぬ寂寥の念がこみあげ絶句してしまった。ここで自分の音楽生活が始まったといても過言ではないわけでして。

20歳そこそこ「阿佐ヶ谷ハッピーズ」という名で何となく活動を始めた1990年初頭、後にハッピーズのベーシストとなるコオ君の仕切りのイベントに出演したのが多分最初のJAM体験。(コオ君はその頃「レモンクリーム」というガレージパンクバンドをやっていた。)
後にコオ君が正式加入し、JAMにブッキングしてもらおうと昼の部のライブオーディションに参加、ライブ後は当時店長の高野さんに「カバーやるならもっとわかりやすい曲がいいよ」なんて言われながらも無事JAMから定期的にライブに誘われるようになる。
右も左もわからないままライブを続けてたらヘアのさとうさんに誘われ、バンド名をハッピーズと改名し、いつしか一緒にイベントやライブをやるようになった。さとうさんプロデュースで93年にリリースされたハッピーズ初のシングル、翌年のミニアルバムを録音したのも新宿JAMだった。

その後自分たち主催で始めたのが、VOX Wah Wah Pedal(後のEVIL HOO DOO、学校で同期だったオガワ君がドラム担当だった)とザ・ヘアとハッピーズの3バンドを軸にした「エレクトリック・パブ」(通称エレパブ)とうイベントだったのだけど、これはいつも沢山お客さんが集まってくれて毎晩最高だった。フライヤーを作ったり、Tシャツを作ったり、ともかく毎回「何かが作られてる」ようなドキドキに満ちていて、ここで僕らはずいぶんとバンドへの意識が変わったように思う。
余談だが、イベント名は他にも候補があって、最後に残ったのが「プレイ・ガール」と「エレクトリック・パブ」だった。今思うとエレパブでほんと良かった。

兎にも角にもJAMにまつわる思い出は山ほどあるけれど、思い出は麻薬のように甘美でこのままでは中毒死してしまうので一先ず中断。

3年前にビフォアーズのゲストシンガーで歌ったのが確か最後のジャムスタ、無くなる前にもう一度出たいなぁと切望中。
できればイーストウッズで。
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by joenakamura | 2017-08-03 11:03 | 考え中 | Comments(0)

すにーかーぶるーす その2

前回の投稿で購入した新スニーカーを履くようになって数日後の話。
ワカ夫妻と一緒に某所の居酒屋の座敷で楽しく飲み終えて、いざ帰ろうとするとマイスニーカーが見当たらず。どうやら誰かが間違えて履いて帰ったらしい。残っていた、どうにも自身のスニーカーとは間違えそうにないナイキエアマックスを仕方なく履いて帰路へ。(ちなみに自分のスニーカーより大分高価な靴だ)
しかし知らない人の靴で帰るのは何とも言えぬ感覚だ。

翌日、居酒屋から履き違えた方から連絡ありと電話。
早々に翌日居酒屋で待ち合わせ、双方のスニーカーを交換した。相手は気の優しそうな30歳手前くらいの男性で、平謝りで菓子折りまで貰ってしまった。
彼、酔いが覚めて知らぬスニーカーを履いて帰った事に気づき、そうとうビビっていたに違いない。その心中察し何だかこっちが悪い気がしてしまったほどだ。

と、言いつつも自分も若い時、友達の家で数人で飲んだ帰り、片方だけ違う靴で帰った事があったのも思い出した。そっちの方が性質が悪いったらありゃしない。

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by joenakamura | 2016-10-12 12:50 | 考え中 | Comments(0)

キャンディ

人生とは選択の連続である。
アッチを選び、コッチを選び、泣きながら後悔したり、はたまた喜んだりのロングロングワインディングロード。
チョイスの根拠は色々とあるが、迷ったら「カッコイイ」方を選ぶべきだと何時でも思っている。
そうすればその後に惨めな結果が訪れボコボコで血まみれの顔になったとしても上を向いていけるような気がする。
まあ金銭やら何やら生活が絡めばそんな理想論で済まないのは百も承知であるのだが、そうでありたい。あらねばならぬ。

という訳で今日キャンディを買うときは、見た目のカッコイイソーダ味にしてみた。シュワっとした。



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by joenakamura | 2016-06-09 23:02 | 考え中 | Comments(0)

別れの季節

3月~4月と言えば別れの季節であるが、先月末に期せずして渋谷にある大好きなビアバーが閉店してしまった。
数日前に足を運んだ時にはそんな気配は微塵もなく、なおかつSNSなどから情報を得る限り不本意な閉店だったようで(あくまで自分の想像の範囲であるが)非常に残念でならない。お別れは突然にやってくる。

お店との別れといえば、贔屓にしていたバーが自宅近所にあったのだが、「定休日の日曜日明けに私用で1日休みます」と告知した後の休み明け、SNS上で「先週で閉店しました。ありがとうございました」と残しあまりにあっけなく閉店してしまい驚愕した事があった。
突然の閉店に常連客の驚きと閉店を惜しむコメントがSNS上に沢山書き連ねられたが、理由を述べるでもなくサバサバとお礼だけ返信する店主の潔さに、「別れはこうでなくてはいけない」と、とても感銘を受けた。さよならだって素敵なものだ。

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by joenakamura | 2016-03-03 10:42 | 考え中 | Comments(0)

ディレイ小説

長い期間かかっていたSF小説をようやく読了した。
物語自体は自分的には期待していたほどでは無かったのだけれど、主人公の膨大なモノローグがストーリーに厚みを与えていて実に好感が持てた。一見本筋と関係の無いディティールや情報の積み重ねは、ギターのパワーコード一発の鳴りのようにシンプルな物語の倍音を増幅させるのである。(そうやって溜まったエネルギーは時にファズトーンにも変わる。)
しかしこの小説映像化されるそうだが、こういった「倍音」をどうやって目に見えるようにするか心配だ。


少し前に読んだ筒井康隆氏の「ダンシング・ヴァニティ」という小説は、同じ場面が少しずつ形を変えながら繰り返されていくと言う異色作であったが、さながらそれはディレイで繰り返されるマニュエル・ゲッチングのミニマルなフレーズのようでドラッグのようでもあった。辛抱強く、またバロウズを愛読するような方にお勧めしたい。

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by joenakamura | 2016-02-24 12:44 | 考え中 | Comments(0)

Awesome Mix

なんとかインフルより生還。
ボーっと寝てばかりの日々だったが暇だったので色々思い巡らす。
近年のSF映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」とか「オデッセイ」といった映画は効果的に70年代の音楽が使われていて、かつ感動的だったのだけれど、果たして邦画ならどんな風だろうと。

まず邦画でSFというのが漫画原作モノ以外は色々と難しい気がするが、ある程度現実離れしたシチュエーションでなければ、「懐かしサウンド」の効果は期待できない。サウンドが懐かしい=故郷(地球)が恋しい、がキモだからである。
そして音楽ジャンルは決してマニアックなニューロックではなく、誰でも知ってるヒット曲でなくてはならない。

実現可能かはさて置き、とある地球に似た惑星を舞台にした私立探偵バディものSFとして考えてみる。そもそもの70年代ミックステープは古道具屋で見つけた体で。
海が無い替わりに砂丘でサーフィンしながら追いかけっこするオープニングに流れるのはピンクレディの「渚のシンドバット」、とある謎の組織を追って、へんてこな宇宙人と交戦する最中には、郷ひろみ&樹木希林の「お化けのロック」が流れ、ユーミンの「あの日にかえりたい」に乗って謎を追い地球へ戻り、夏の陽射しの中、サーカスの「Mr.サマータイム」~桑江知子の「私のハートはストップモーション」で大団円。エンドロールにはジュリーの「憎みきれないろくでなし」気障な台詞だね・・・

妄想映画で我ながら号泣。(合間合間は想像力を働かせてください)

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by joenakamura | 2016-02-22 17:29 | 考え中 | Comments(0)

紅顔

アルコールを飲むと、時々昔に比べすぐに顔が赤くなってしまう事がある。
血行が良くなってるのかなんて思っていたが、原因はアルコールが体内に入りアセトアルデヒドに変わった後に酢酸に分解ができないせいらしい。肝臓が弱っているということか。
ビール好きとはいえ暴飲はせぬようにしなくてはならない。

顔が赤くなるといえば、最近流行の女性が頬にチークをつけ赤くする「おフェロメイク」とういうやつだが、以前、明らかに塗る位置が間違っていて、さらに色が濃く、まるで顔面を殴打したのかと思う人がいたので、そういうのはビックリするのでやめてほしい。

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by joenakamura | 2016-02-15 10:35 | 考え中 | Comments(0)

猫ブーム

現在、空前の猫ブームだそう。
なめ」とか「ブサ」とかの形容詞がつくならいざ知らず、猫が可愛らしいのは今にはじまった事でもないので何を今更ブームと言うのかモヤモヤしたので調べてみると、今まではペットといえば飼い犬の数が圧倒的に多かったのだが、来年には飼い猫の数が追い抜く勢いなのだそうだ。詳しい理由は知らないが、そう言われると周りでも猫を飼い始めた知人が多くなった気もする。[写真は自分のinstagramより]

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我が家には現在17歳と15歳の老犬チワワ親子がいるが、飼い始めたのは某金融企業のCMに何度も登場した白長毛のチワワを発端にした空前のチワワブームが訪れる少し前の頃であった。
その後大量の捨てチワワが当然の如く出たそうだが、犬種のブームはチワワを終えればダックス、トイプードル等次々と変わっていく訳で(以下同文)。無茶苦茶な理由で飼育するのを放棄する人は後を絶たないそう。どうぞ猫ブームで不幸な猫が増えませんように。

以前、街中で小さなヨークシャテリアだかを散歩させているオバ様がいて、「まぁかわいい~」と道行く人が掛ける声に対して、「かわいいでしょ?大きくならないようにあんまりご飯あげないのよ~」などと言っていたので、心の中で彼女に針を1万本飲ませました。

子犬の横に「化けない!(大きくならない。このまま小さく可愛いままですよ~の意)」と大きく張り紙を出している某ペットショップを見かけた事もあった。店主の横に、彼の子供の頃の写真を貼り付けて「化けました!」と書いてやりたい気分になるのは自分だけではあるまい。

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毒を吐いたのでお茶を飲みます。恐惶謹言。
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by joenakamura | 2016-02-10 11:22 | 考え中 | Comments(0)

ドーナッツ

この間、ドーナッツを食べる夢を見た。
最近、ドーナッツを食べる事は皆無だったのだが、何処かでミスター・ドーナッツの「オールドファッション」がリニューアルしたという記事を読んだせいだろう。
夢の中で新しくなったオールドファッションを頬張っていたから間違いない。

ミスドは若かりし頃はよく通った所だった。
70年代からあった地元のミスタードーナッツは、幼い自分にとってはアメリカの匂いが立ち込める憧れの黄色い店で(アメリカといえば後はコカ・コーラのオマケで大流行したヨーヨーが衝撃的だった)、そこは当時珍しい24時間営業のせいで暴走族のたまり場でもあったのだが、そんな事も含めて、何だかワクワクさせてくれる一番身近な場所のひとつであった。

中学、高校生になると一杯の珈琲で延々と過ごせる(お代わり自由なので)事もあって、試験勉強のデスク代わりにしたり、友達とウダウダ語る場所へと変貌した。フレンチクルーラとオールドファッションと薄い珈琲は青春の味といっても過言ではない。
高校時代、部活の回し読み用に、当時大流行していた赤い背表紙の片岡義男の文庫本に多大な影響を受けた、「ミスタードーナッツ物語」という小説を書いた。
単車乗りが事件に巻き込まれ其れにドーナッツが絡んでいくという物語は、思い返せば嫌な汗をかく陳腐なものだったが、部員たちには好評で3作程調子に乗って書いたかと思う。恐いもの見たさに読み返してみたいものだが何処へいったのか今ではさっぱりわからない。

時は経ち、気がつけば、ドーナッツショップなのに飲茶を売り出したり、歌舞伎町には巨大なメリーゴーラウンドが回る店ができたり(地元のミスドも改装されメリーゴーラウンドが設置された)、所ジョージのCMで一気に俗っぽくなったミスドに憧れはさっぱり無くなってしまい、しかしながらBGMはオールディースで良かったから喫茶店代わりに使うことは度々あったものの、専門学校時代は寄り道に使えど特にドーナッツが好きでもない自分は年をとるにつれて、ほとんど足を運ばなくなってしまった。

すっかり大人になった自分が、夢の中で食べたオールドファション。
その中では味なんてわからなかったが何だか妙に懐かしい気分になってしまった。
ようは店の広告にうまく乗らされてしまった、という事なのだろうが、ちょっと新しくなったオールドファションを食べてみたくなった。それで「こんなのオールドファションじゃないな」と悪態をついてみたい。

閉口。

6月23日(土) 下北沢leteでワンマン弾き語りすることにしました。
予約、詳細は明日以降に掲載します。
leteに行く前にミスドに寄ってみようかな。
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by joenakamura | 2013-05-22 22:53 | 考え中 | Comments(0)